導入事例インタビューは、実際にサービスを導入した顧客の生の声を引き出すことで、検討中の相手に具体的なイメージを与えられる手法として注目されています。
製品のメリットや導入後の効果を顧客の言葉で語ってもらうことで、営業資料やウェブページに比べて説得力が格段に増すのが大きな特徴です。
さらに、インタビューを実施する過程で顧客との関係性が深まり、新たな課題や要望を発掘できることも大きなメリットと言えます。
失敗のない導入事例インタビューを行うには、事前準備から当日のやりとり、取材後のまとめ方まで、一貫したプランを立てることが欠かせません。
本記事では、インタビューのステップやコツを具体的にご紹介しますので、ぜひ参考にしていただき、質の高い導入事例を作成する際に役立ててみてください。
導入事例インタビューの進め方
導入事例のインタビューは次のようなステップ①〜⑥で進めていきます。
- ステップ①導入事例の目的とターゲットの設定
- ステップ②取材、インタビュー対象者のリストアップ
- ステップ③取材、インタビュー対象者への許可取り・日程調整
- ステップ④取材、インタビュー準備(質問内容などの決定)
- ステップ⑤取材、インタビュー時の質問内容の事前共有
- ステップ⑥取材、インタビューの実施
それぞれのステップについて、やり方や注意すべきことを詳しく解説します。
ステップ①導入事例の目的とターゲットの設定
導入事例を制作する際は、まず「どのような読者に向けて、どんな情報を伝えたいか」を明確にすることが肝心です。
BtoB向けならば投資対効果や業務効率化の成果、BtoCならば使い勝手や利用シーンなど、着目すべきポイントが変わります。
また、最終的にどのタイミングで事例を活用するのか、たとえば商談時の資料に使うのか、自社サイトの閲覧数増加を狙うのかなど、活用目的を定めておくと取材の焦点が定まりやすくなります。
目的とターゲットをはっきりさせておくと、事例全体のストーリー構成も作りやすくなるでしょう。
ステップ②取材、インタビュー対象者のリストアップ
目的とターゲットが定まったら、次に重要なのがインタビュー対象者の選定です。
製品やサービスを実際に導入し、成功を収めている顧客に協力してもらうことが基本ですが、導入の意思決定を下した担当者や、実際に運用を行っている現場スタッフなど、異なる視点の人を含めると内容に深みが出ます。
事例のバリエーションを広げるためにも、業種・規模・課題のタイプなどを考慮しながら、複数の顧客をリストアップしておくと効率よく取材が進められます。
候補の企業に対しては、導入事例公開のメリットを伝え、快く取材に応じてもらえる環境を整えると良いでしょう。
ステップ③取材、インタビュー対象者への許可取り・日程調整
リストアップした顧客にアプローチをかける際は、導入事例として具体的にどのような形で情報を公開するのかをしっかり伝えることが大切です。
社名や担当者名を出すか否か、数字や社内データをどの程度まで共有できるかなど、顧客が不安にならないよう、配慮したコミュニケーションを取りましょう。
また、日程調整では可能な限り相手の都合を優先し、十分な時間を確保できるスケジュールを組むことがポイントです。
オンライン取材を行う場合は、ツールの使い方や事前テストの有無なども含めて調整しておくと当日スムーズに進められます。
ステップ④取材、インタビュー準備(質問内容などの決定)
取材準備の段階では、事前に聞きたい内容をリスト化しておくと効率的です。
導入前の課題や導入の決め手、導入後の変化、数字で表せる成果など、事例記事に欠かせない要素を押さえておくと、当日にスムーズに深掘りができます。
また、顧客にとって分かりにくい専門用語や質問の意図が不透明にならないよう工夫すると、取材を受ける側も回答しやすくなります。
特に数字やエピソードは記事の説得力を高めるため、あらかじめ「教えていただきたい情報」を明確にしておくとよいでしょう。
ステップ⑤取材、インタビュー時の質問内容の事前共有
インタビュー当日にいきなり質問すると、顧客が十分な回答を準備できず、要点がぼやけてしまうケースがあります。
そこで、取材日より前に大まかな質問リストを共有しておくことがおすすめです。
あまり細部まで詰めすぎる必要はありませんが、「どのような話題について掘り下げたいのか」を提示しておくと、顧客側も事前に数字や資料を用意しやすく、より具体的な情報を提供してもらいやすくなります。
また、質問の順番だけでなく、「どんな意図で質問するか」を添えておくと、スムーズに会話が進むでしょう。
ステップ⑥取材、インタビューの実施
取材本番では、相手にリラックスしてもらうためのアイスブレイクや雑談から入ると、スムーズにインタビューに移行できます。
質問に対して回答が得られたら、一度で終わらせず「そこはどのように感じられましたか?」など追加の質問をすることで、より深い情報を引き出すことが可能です。
録音機材の使用も検討すると、後から発言内容を正確に把握でき、記事作成で悩む時間を大幅に減らせます。
取材後にはすぐに感謝の意を伝え、必要があれば再度確認や追加の質問を行うことで、充実した導入事例へと仕上げていきましょう。
導入事例インタビューで的確な話を顧客から引き出すコツ
導入事例インタビューを成功させるには、準備はもちろん、当日の聞き方やコミュニケーションにも工夫が必要です。
導入事例インタビューで顧客から話を聞き出すコツは次の7つです。
- 取材、インタビュー前に趣旨や質問内容などを説明しておく
- あらかじめ質問する流れ、段取りを考えておく
- ちょっとしたアイスブレイクを挟んでからインタビューに移る
- 時系列で話を聞いていく
- 一問一答ではなく、相手の回答の中のキーワードを深掘りしていく
- 導入の決め手、ビフォー・アフターは特に深掘りをする
- 具体的なエピソードや数字がないかを確認する
それぞれどのようなコツなのかを詳しく見ていきましょう。
取材、インタビュー前に趣旨や質問内容などを説明しておく
「なぜ取材をするのか」「記事を通してどんな情報を伝えたいのか」を、インタビューを受ける前に共有しておけば、顧客は自社の経験をどの角度から話すべきかを理解しやすくなります。
たとえば「導入後の売上変化や社員の作業効率を中心に聞きたい」などの要望を伝えるだけでも、相手が準備する内容が明確になります。
こうした事前説明を省いてしまうと、当日に話がかみ合わず、具体的な数字やエピソードを聞きそびれてしまう原因になりがちです。
相手がゴールを意識した状態で応じてくれるよう、丁寧に趣旨を伝えておくことがポイントです。
あらかじめ質問する流れ、段取りを考えておく
インタビューはライブ感がある反面、行き当たりばったりに進めると情報が散乱してしまう恐れがあります。
そこで、「導入前の課題→導入の決め手→実施プロセス→導入後の成果→今後の展望」といった大まかな流れを作り、それに沿って質問するようにすると、相手も時系列や論理の順序をつかみやすくなります。
質問の順番を意識するだけで、話が前後して混乱するのを防ぎ、「どのフェーズで最も効果を感じたか」などの重要なポイントをスムーズに掘り下げられるようになるでしょう。
ちょっとしたアイスブレイクを挟んでからインタビューに移る
特に初対面での取材やオンラインでのインタビューでは、相手が緊張しがちです。
会話がぎこちないままだと、本音や具体的な話にたどり着きにくくなるため、最初の数分で軽い雑談や相手の近況などを尋ねるとよいでしょう。
雑談を通じて相手がリラックスしてきたら、本題に移る合図を示し、段階的にディスカッションを深めると、自然な流れでインタビューを進行できます。
アイスブレイクに時間をかけすぎるのは逆効果ですが、数分間の心のウォーミングアップは取材全体の質を高める大切なステップとなります。
時系列で話を聞いていく
導入事例では、導入前にどのような課題があり、どんなプロセスを踏んで導入を決定し、結果としてどう変化したのかを明確に伝えることが重要です。
そこで、インタビュー時も時系列を意識して質問を重ねると、相手の頭の中で出来事を整理しやすくなり、エピソードが自然に出やすくなります。
たとえば「導入の検討を始めた段階ではどんな悩みがあったか」「実際に契約を決めた要因は何か」といった流れで聞いていくと、読者にとってもストーリーを追いやすい記事になります。
一問一答ではなく、相手の回答の中のキーワードを深掘りしていく
取材に慣れていないと、質問に対して一度答えが得られた時点で次の質問に移ってしまうことがあります。
しかし、回答にはさらに深掘りすべきキーワードが潜んでいる場合が多いです。
たとえば「導入してすぐに効果を感じました」という答えが出たら、「どんな効果が最も顕著でしたか?」と追加質問してみると、具体的な数字やエピソードを聞き出せるかもしれません。
一問一答で終わらず、回答をきっかけに新たな疑問を投げかけることを意識すれば、豊かな内容のインタビューを実現できます。
導入の決め手、ビフォー・アフターは特に深掘りをする
導入事例の魅力は、「導入前と導入後で、具体的にどのように変化したのか」がはっきり分かる点にあります。
したがって、「導入を決めた最終的な理由」と「導入後の効果」は特に念入りに質問しましょう。
数字として表せる成果があれば、その数字がどうやって算出されたのか、どのくらいの期間で目に見えるようになったかなど、読者がイメージしやすいよう深堀りして聞くと、説得力が高まります。
ビフォー・アフターを対比させる構成は読者の興味を引きやすいため、取材の時点で十分な情報を確保しておくとよいでしょう。
具体的なエピソードや数字がないかを確認する
記事としてまとまったときに説得力を持たせるためには、「実際に何が起きたか」のエピソードや数字など、定量的な情報が欠かせません。
たとえば、「作業時間が1日2時間短縮された」「お客様からの問い合わせが3割減少した」などの具体例があると、読者は「自社でも同様のメリットが得られるかもしれない」とリアルに感じやすくなります。
取材中に顧客があいまいな表現で答える場合は、「具体的に言うとどれくらいでしたか?」とさりげなく引き出すようにすると、より濃い内容を得られるでしょう。
導入事例インタビューでよくある失敗と対策
導入事例インタビューを実施したものの、思ったほど内容が深まらずに終わったり、いざ記事にまとめてみると肝心なエピソードや数字が抜け落ちていた、という失敗は少なくありません。
こうした原因の多くは、事前準備の不足や、当日の聞き方が単調になってしまうことに起因しています。
インタビュー後に文字起こしを見て「要点が書かれていない」「全く具体性がなかった」と気づいても後の祭りです。
事前に想定される失敗を把握し、対策を考えておくことで、取材当日の質を大きく向上させることが可能です。
以下では、よくある失敗例とその対処法を簡潔にまとめました。
お客様の回答が単調すぎる
インタビューを始めても、「特に不満はありませんでした」「まあまあ順調です」といった抽象的な答えしか返ってこないことがあります。
これは、質問が抽象的すぎるために、相手も何を具体的に話せばいいのか見当がつかない場合に起こりがちです。
また、「はい」「いいえ」で答えられるクローズドクエスチョンだけでなく、自由に説明できるオープンクエスチョンを交えることも大切です。
「導入後の具体的な変化や数字、エピソード」を聞きたい旨を事前に伝え、当日も「いつ頃から効果を感じ始めましたか?」といった具体的な問いかけを心がけることで、回答を掘り下げられる可能性が高まります。
全く深掘りができず一問一答のようになってしまう
インタビューが単なる「質問→回答」の繰り返しになってしまうと、表面的な情報に終始し、魅力的な導入事例にはなりにくいです。
その原因の一つは、質問事項をこなすことに意識が向きすぎて、相手の回答の中にあるキーワードを拾えていないことにあります。
深掘りするコツとして、相手の回答から一つキーワードをピックアップし、「なんで○○なんですか?」と問いかける方法があります。
たとえば、「業務がスムーズになりました」と言われたら、「なんでスムーズになったんですか?」と聞くことで、より具体的な変化やエピソードを引き出せます。
また、相手の回答をそのままオウム返しするのも効果的です。
「業務がスムーズになったんですね」と返すと、相手が「そうなんですよ、特に○○の作業が…」と自ら話を膨らませてくれることがあります。
あらかじめ質問リストを作成しつつも、相手の答えにじっくり耳を傾けて、追加質問をする余裕を持つことが重要です。
必要があれば、取材時間を十分に確保しておくことも検討しましょう。
聞いて見た結果、具体的なエピソードや数字がほとんどない
記事の説得力を高めるために不可欠な具体的なエピソードや数字が集まらない場合、読み手は「本当に導入した効果があるのか」と疑問を持ってしまいます。
こうしたケースを避けるには、事前に「どのようなデータや成果を公開してよいか」を顧客とすり合わせ、可能であれば資料や数値を用意してもらうよう依頼しておくと効果的です。
取材の最後には「数字の面で把握していないことはありませんか?」と改めて確認すると、意外な情報が得られることもあります。
お客様がこちらの趣旨と違う回答ばかりしてしまう
インタビューが始まると、お客様が自社のPRや想定外の話題に終始してしまい、こちらが聞きたい内容にたどり着けないこともあります。
これは、事前にインタビューの目的や聞きたいことを明確に共有していないせいで起こることが多いです。
対策としては、取材依頼の段階で「導入前後の変化や、導入のきっかけなどを中心に伺いたい」と伝え、当日話がそれた場合も、「ありがとうございます。それでは導入を決めた一番の要因について教えてください」と、さりげなく軌道修正するテクニックを身につけておきましょう。
お客様に知識がなさすぎて質問に明確に答えられない
取材相手が、実際の導入プロセスや数字を詳しく把握していないケースも少なくありません。
担当者が変わったり、導入に深く関わっていない部署の人が対応してくれている場合などが典型例です。
こうしたときは、取材内容が薄くなる前に「別のご担当者にもご協力いただけないか」相談するか、「把握している範囲で話していただき、必要に応じて後日追加取材をする」といった臨機応変な対応が大切です。
色々聞けたと思っていたが、文字起こししてみると全然聞けていなかった
取材時は盛り上がっていて「たくさん話を聞けた」と思っていても、後で録音やメモを確認すると、肝心の数字や実例が抜け落ちているケースがあります。
そうならないために、インタビュー終了間際に以下のような確認を入れることが大切です。
- 「今日お聞きした中で、もっと深掘りしたい部分はありませんか?」
- 「言い残したことはありませんか?」
- 「もっとアピールしたいことはないですか?」
また、録音を残しておけば、執筆段階で細かなニュアンスを思い出しやすく、重要なポイントを聞き逃していないかの二重チェックが可能になります。
導入事例インタビューは職人芸!プロに依頼するのがおすすめ!
導入事例インタビューでは、取材前の準備から当日の聞き方、そして記事へのまとめ方にいたるまで、さまざまなスキルが求められます。
一度やり方を間違えると、単調な内容や抽象的なコメントだけが集まり、十分な訴求力を持つ記事を作ることが難しくなりがちです。
プロのライターや取材専門のチームであれば、顧客の話を自然に引き出すテクニックや、読み手に伝わりやすい構成づくりなど、細部まで行き届いたサポートが期待できます。
特に、導入事例を企業のブランドイメージ向上や営業資料として積極的に活用する場合、信頼性の高いコンテンツを仕上げるためにプロの力を借りるメリットは非常に大きいと言えるでしょう。
話を引き出すプロがインタビューを担当!導入事例作成はFIELD-Xにおまかせ!
導入事例インタビューは、貴社が培ったノウハウを存分にアピールし、検討中の顧客の購買意欲を高めるための絶好のチャンスです。
FIELD-X(フィールドエックス)では、経験豊富な取材スタッフが顧客の話を丁寧に聞き取り、数字や具体的なエピソードを引き出すことで、印象に残る導入事例を制作いたします。
取材から執筆、デザインまで一貫して行う体制を整えているので、インタビューが苦手な方でも安心です。
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